2020年に実施された大学入試改革により、大学入試は大きく変わろうとしています。かつては、一般入試が主流でしたが、今は、私立大学の約55%が推薦系で大学に合格しています。国公立も少しずつ推薦系での合格者が増えてきています。
そこで、ここでは、総合型選抜入試を中心に大学入試を考えてみたいと思います。
そもそも総合型選抜って何?一般入試との違いって?
年明けの1~3月に実施される一般選抜に対し、年内の秋・冬に合否が決まる入試が総合型選抜と学校推薦型選抜です。「年内入試」という呼称も定着してきました。私立大学だけではなく、国公立大学でも年内入試による入学者が増えており、2021年度は、全大学の入学者の50.3%に及びます。
それでは、この総合型選抜・学校推薦型選抜と一般入試の違いをお伝え致します。一般入試との決定的な違いは、総合型選抜・学校推薦型選抜は、大学が求める学生像であるアドミッションポリシーに合致しているかどうかを基準にして判定していることです。
総合型選抜・学校推薦型選抜は、生徒の個性を評価する入試だと思っている人が多いのですが、それは誤解です。あくまでも大学や学部のアドミッションポリシーに合致するかどうかが合否のポイントとなるのです。
また、総合型選抜・学校推薦型選抜は、大学が実施する評価方法、例えば小論文、プレゼンテーション、口頭試問、各教科・科目に係るテストや、共通テストのうち少なくともいずれか一つを必ず活用することになっています。
総合型選抜・学校推薦型選抜でも、一般入試同様に、受験生が大学で学ぶために必要な学力を求められていることにかわりありません。
先述したように、大学側がアドミッションポリシーという、大学で学ぶための意欲や適性を評価していく流れが強まっているので、この事と一般入試との違いを理解して、大学受験について早期に行動することが、進路選択の幅を広げることに繋がります。
小論文と作文は何が違うの?
「小論文と作文の違いとは何か?」これは、よく聞かれる質問です。あえて、違いを示すと、「制約の有無」だと思います。
では、「制約の有無」とは何かと言うと、「作文」は自分の思っていることや感じていることを自由に表現できますが、「小論文」では自分の意見について、根拠を示して論じなければなりません。
更に、小論文には文章を書く上で守らなければならない決まりがあります。例えば比喩表現を用いることは出来ません。小論文は、作文より表現方法が狭まりますが、逆に言えば、小論文のほうが書きやすいとも言えます。
もう一度、作文とは何かを考えてみます。小学校、中学校、高校の学習の中で、作文といえば、読書感想文であったり、「税」や「人権」といった決められた課題についての作文であったと思います。
小中学校の作文の指導を見ると、原稿用紙の使い方については指導されますが、構成や論理展開についてはあまり細かく指摘されません。また、話し言葉か書き言葉か、あるいは敬体(です、ます)か常体(だ、である)ということについても、そこまで使い分けをせずに、のびのびと自由に思ったことを書く方がよいとされます。これが一般的な作文のイメージです。
次に、小論文について問題の形式でおおまかに分けてみます。
- 単語など短い言葉の題材について書く形式
- 短い質問や指示に答える形式
- 課題文についての設問に答える形式
- 課題文を要約する形式
- 写真、絵、図や表についての質問に答える形式
また、もっと重要なことに、なぜ小論文の評価の仕方についても大きく2つに分けると
- 点数化、序列化せずに、適性があるかどうかを見極めるためのもの(医学部などに多い)
- 点数化、序列化するもの(慶応義塾大学、早稲田大学など)
評価の要素としても、
- 意欲
- 知識
- 文章能力
- 適性
のいずれかを評価するか、どこに重点があるかなどの違いがあります。
いずれにしても志望校大学のアドミッションポリシーや過去問を分析して、把握しておくことが必要です。形式や評価の方法によって、対策をあわせていかなければなりません。
総合型選抜には小論文が大切
小論文の書き方ってどうするの?
小論文の書き方
ステップ1:課題文を読む
まず課題文をよく読んで、設問の内容を理解します。そして、何を答えたら良いのかを理解しておきます。出題者の意図をしっかり読み取り、設問に答えておく準備をすることが大切です。
ステップ2:構成を練る
設問に対して、自分の考えを導き出すために、出題者の主張に対して自分の考えと異なる部分、賛同する部分、納得する部分にメモや下線を引いておきます。そのテーマについての具体的な例、背景などを考えてみる。理由や自分の意見を簡単にまとめてみる。
ステップ3:構成をする
ステップ2で決めたテーマに対する自分の意見を述べる。そのテーマについての具体的な例、背景などを示し、論理を展開していく。
ステップ4:文をまとめる
構成が決まってある程度文章の流れが決まったら、考えながら文章に肉づけをしていきます。できるだけわかりやすい表現で書くことを心がけてください。
では、例を示しながら解説していきます。
【例文】テーマは「日本の少子高齢化についてあなたの考えを述べて解決策を示しなさい。」ということにします。
1.出生率について、都道府県で比較をしてみます。出生率の低い都道府県についての問題点をあげます。
出生率が一番低いのは東京都で、一番高いのは沖縄県である。
2.東京都の問題
待機児童の問題、育児の問題、子どもの教育費の問題などの例をあげて、具体的に書いていきます。
①この時に自分の意見を書きます。
②2つめの論の展開には、①と重ならないようにします。
3.最後は結論を書きます。結論は問題に対する答えを書きます。
子育てを母親にだけに任せない女性が参加できる社会の実現と教育費や養育費を補助して家庭の負担を減らす。
小論文の構成は、序論と結論が伝えたいことです。本論はその証拠を示します。序論=結論になります。
このように構成して書いてみると良いと思います。
たくさん書くこと、それを経験者に添削してもらうことも小論文には必要です。
小論文って大学ごとにちがうのですか?
① 志望学部が看護などの医療系学部なら、それに関連するテーマが出題されることが多いですね。
「患者の権利、インフォームド・コンセント」など
② 人間関係に関連する学部なら
近年のSNSの発達は、人間関係に大きな影響を与えています。あなたの身近な家族や友人など周囲の人との関係に与えた影響を一つ取り上げて、あなたの考えを述べなさい。
③ 理系で機械工学なら複数の文章が示されるもの
我が国は他国に対して少子高齢化が進んでいます。機械工学の分野で少子高齢化の抱える課題の解決に寄与できる機械はどのような技術が想定されますか。あなたの考える少子高齢化に役立つ機械のアイディアを示し、その作動原理と有効性について具体的に述べなさい。
もし、世界から「コンピュータ」がなくなってしまったら、社員の一員として、あなたは何に一番困りますか。また、それはなぜですか。あなたの考えを述べなさい。
④ 英文の課題が示されるものもあります。
次の英文の質問に80字程度の英文で答えなさい。
American basketball coach Jhon Wooden once said, “Failure isn’t fatal, but failure to change might be.” Explain what you think this means. Share an example of time when made a change in your life, and how you think it helped you to be more successful, or not?
⑤ グラフやデータが与えられる例
最先端ITとデータを用いた「第4次産業革命」と呼ばれる産業構造の変化が進行している。ITとデータを用いて、新たな付加価値を創造することができる人材を「IT人材」と呼ぶとする、以下に示す3つのグラフを読み取り、今後のIT人材育成に関するあなたの提案を述べてください。グラフのどの内容を参照にしたか、明確に記述すること
⑥ 写真や絵が与えられる例
図版Aと図版Bの作品をよく観察し、何がどのように描かれているか、それぞれ600字程度で記述し、さらに両者を比較して、共通点や相違点を具体的に挙げて600字程度で記述しなさい。
このようなテーマが出題されるので、自分の受験する大学と学部、学科を明確にして対策をしておく必要があります。
小論文の対策って必要ですか?
小論文対策の特長は?
小論文対策の特徴は、「ULTRA®」理論を用いた指導が有効だと思います。
小論文試験も面接試験も、相手(出題者や質問者)の要求を理解し、その要求に対する回答を論理的に思考し、整理して表現する過程です。つまり、小論文や面接試験では、理解力⇨論理的思考力⇨表現力が問われます。そこで、小論文の問題を解く 4 つのステップとして、「ULTRA®」理論が必要なのです。 「ULTRA®」とは、Understand(理解) Logic(論理) TRimming(整理) *Action(表現)の頭文字です。 この手法を活用し高校入試、大学入試(総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜)、大学院入試、就職試験(公務員試験・民間企業採用試験)の対策指導ができる認定 ULTRA®ファシリテーターの資格を指導分野も幅広く活かすことが必要です。、小論文・基礎編から始まり、社会・人文科学系、自然科学・医療系、看護・福祉系から志望理由書対策、面接試験対策まで可能です。
どんな対策をすればいいの?
1.総合型選抜の小論文対策・学校推薦型の小論文対策・指定校推薦の小論文対策
2.エントリーシートの対策指導
3.面談の対策指導
4.一般入試対策も平行して行うことが大切
いずれにしても志望校大学のアドミッションポリシーや過去問を分析して、把握しておくことが必要です。形式や評価の方法によって、対策をあわせていかなければなりません。
小論文ではしっかりと採点者を意識して、何が評価されるかを考えて、対策することが重要です。これが、大学入試における作文と小論文の違いです。
総合型選抜情報
・総合型選抜のメリット
・東洋大学の指定校推薦・総合型選抜・評点
高校1年・2年生向け情報
・学校推薦(指定校推薦・公募制推薦)総合型選抜の小論文について
・総合型選抜と学校推薦型選抜の違い
・学校推薦型選抜について